字の本を読む

字の本を読めとは、ほかでもさんざん言われているだろう。その意味、意義についても、この秘伝書の他のところで話した。今回は別の切り口でいこう。本はとにかくたくさん読め。「たくさん」本を読む究極の目的は何か?
それは、自分自身を知ることだ。
読みながら考えを深めて知ることもあるのかもしれない。人に説明することで自分自身を発見することもあるかもしれない。けれども。いちばん自分自身を発見するのは、本棚に並んだ背表紙を眺めるときだ。
お父さんの場合だと、「王様棚」というところがあって、ここには本当に気に入った本だけを並べている。その他のスペースは「子どもたちに勧めたい」本の置き場。そこからあふれた本はどんどん人にあげたり売ったり捨てたりしてる。つまり本棚には「浮かんだバターをすくうように」自分の考えや好みにあったものだけが残ってるのだ。
だから、本棚は自分の鏡みたいなものだとほんとうに、思う。それから、時間とともに、好みや考えが移ろっていく様もよくよくわかって、これまた大変におもしろい。
本は大量に読め。そして、捨てろ。