めんどうがらずにシェアする

高校生に至っても、定期テスト前の勉強は楽をさせてもらった。さすがにやってたんだけど、徹夜してやりましたとか、そういう凄惨なやりかたはしてなかったということ。だいたいテスト前は部活が休みになるので、喜んで自主練して、疲れた頃にテニスコートの脇に転がってる古い机で勉強する的な感じ。
そんなゆるっとしたやりかたでもそこそこやっておれたのは、みんなが質問しにきてくれたから、かな。特に数学。これにはちょっとだけコツがあって。授業で何回か模範的な解き方の講義があって、そのときには黒板写すだけで意味はほとんどわからない。その後に何回か演習の時間があって、当てられた問題を生徒が黒板に書き、先生が良いの悪いのと添削してくれる。コツというのは、とにかく問題を解くことに集中するということ。
早め早めに問題を解いておくと、演習の時間に、まだ解いていない友だちがノートをこそっと借りにくる。出し惜しみせずにノートを渡すと、自分の解き方を先生が良いの悪いの言ってくれる。友だちのほうも、できませんと言わずに済むからありがたがられる。
さらに良いのは、定期テストが近づいてくると、今度は周りがノートをコピーさせてくれと言ってくる。ハチャメチャに適当に解いた形跡ばかりのノートだけど、それでもヒントがあるほうが助かるようで、次々にコピーしにくる。こうやってコピーを渡していると、もっとテストが近づいてくると、今度は分からないところを直接聞きにきてくれる。その質問を、分かったふりして答えたり、一緒に考えていると、ちょうどテストのための勉強になるわけやねえ。
分からなくて聞きにくるぐらいの問題が、ちょうど試験に出るというわけ。これが自動的試験対策の術。しかもたいてい女の子がやってきてたので、おしゃべりしているうちに勉強が終わるの術。
半歩早くやっておいて、めんどうがらずにシェアする。いちばん得するのは、あげたほうなんだな。